日本語教師のための教案(指導案・略案)例を作成しました。対象は、日本語を初めて学習する学生(日本語学校での初日授業)です。
教案ファイル
初日授業の教案です。
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日本語教師の教案
対象・目標
初級クラス 1・2時間目
範囲:初日オリエンテーション(自己紹介など)
教室用語/あいさつ/数字/日付/時刻/曜日/
ひらがな(あ~さ行)
目標:日本語の学習に対して意欲をもたせる。
授業導入・展開
T:こんにちは。(プリントやテキストがあれば配る)
・板書「P○」(テキストを使う場合はページを板書)
T:はじめまして。
S:はじめまして。
T:〇〇です。どうぞよろしくお願いします。
S:どうぞよろしくお願いします。
・席の近くに行き、一人一人学生の発言を促す。
T:はじめまして。
T:〇〇です。
T:よろしくお願いします。
・机上に置くネームプレートを各自作る。
(必要に応じて)
・第一印象は大切。笑顔でハキハキと話します。
・出席を取る場合は、名前が母国での読み方と違うことがよくあります。自分が呼ばれているのだと気付かない学生がいます。その場合は、この日に限り出席簿を見せて、名前の確認を行います。
・ネームプレートの作成モデルを見せてあげるといいです。小さく書く学生もいますので、できるだけ大きく書くように。
・非漢字圏の学生は自分の名前をまだカタカナで書けないこともありますのでネームプレートを作成する際は教えてあげましょう。
◯ケータイ電話を授業中に使用しないことを伝える。
・所定の場所がある場合はそこへ。(出席番号順に並べると誰が出していないか分かりやすい)
☆「教室用語」
・教室用語を拡大したものを黒板に提示。
「名前」「試験」「宿題」「聞いてください」「見てください」「書いてください」「質問してください」「答えてください」
・一つずつリピート練習をする。
・イラストで確認しながらもう一度リピート。
「ゆっくり言ってください」「もう一度言ってください」「待ってください」「教えてください」
・一つずつリピート。
・イラストで確認しながらもう一度リピート。
「いいですか」「いいです」「だめです」「わかりますか」「わかります」「わかりません」「はじめましょう」「休みましょう」「終わりましょう」
・一つずつリピート。
・イラストで確認しながらもう一度リピート。
(一気に全部音読してから、イラストなどで意味の確認をしてもいいです。)
・A3で拡大した教室用語を用意するといいです。
・教室用語の簡単なイラストを用意しましょう。
(ペープサートで作るのもいいと思います。)
・教室用語は授業の間にさっと出して確認できるようにしておきます。(慣れるまで黒板の端に貼っておいてもいいです。)
☆挨拶など基本会話
・絵カードを用いる。
「はじめまして。」
「どうぞ、よろしくお願いします。」
「おはようございます。」
「こんにちは。」
「こんばんは。」
「おやすみなさい。」
「さようなら。」
「ありがとうございます。」
「すみません。」
「お願いします。」
・何度かテンポ良くリピート。
・大切な会話表現ですので覚えられるまで日頃から練習を重ねましょう。
☆数字
・0~10まで一つずつリピート。
・0~10をFCでもう一度確認。
(上から、下から、ランダム読みで練習する)
・11~20まで一つずつリピート。
・11~20をFCでもう一度確認。
・黒板に30、40、50、60、70、80、90を書きながら読む。(リピートさせる)
・黒板に21、34、45、57、68、77、89、93…ランダムに数字を書いて読み、リピート。
・学生が出来そうなときは、質問する。
・FC0~20を用意する。
・特別な読み方のところは強調して読み意識させます。
☆日付表現
・イラスト(カレンダー)を黒板に提示
「(日付を指して)今日」
「明日」
「明後日」
「昨日」
「一昨日」
(4/9など、日付を書き、「今日」「明日」「昨日」…と練習してもいいです。)
・日付表現はこれから徐々に覚えられるようにすればいいので、紹介程度でいいと思います。
☆時刻
・黒板に『1:00』と書く。
「一時」
・12時まで確認していく。
・黒板に「1:05」と書き、「05」のところに下線を引く。
「五分」
・55分まで確認していく。(30分は二種類)
・5、15、25、35、45、55
・10、20、30・半、40、50
・30分、半
それぞれ練習
・黒板に時間をランダムに書き、時間を言わせる。
・黒板に「?:?」(分かりませんのイラストを出す)
「何時何分」
「(時計を指差して)何時何分?」
・ここで時間割の説明をしてもいい。(必要に応じて)
(例)
①13:00~13:45
②13:55~14:40
③14:50~15:35
④15:45~16:30
・「4時」「7時」「9時」に注意。「よんじ」「ななじ」「きゅうじ」とならないよう。
・「ふん」と「ぷん」の使い分けに注意する。
・5分単位で「ふん」、10分単位で「ぷん」が理解できるように。
・余裕があれば「半」も指導しましょう。
・時計イラストを用いて針を動かしながら練習してもいいです。
☆曜日
・カレンダーイラストなどを用いる。
「日曜日」「月曜日」「火曜日」「水曜日」「木曜日」「金曜日」「土曜日」「何曜日」
・曜日を言いながら、担当の先生の名前を紹介する。(チームテーチングの場合)
・掃除当番を伝える。(掃除がある場合)
・曜日を書いてその下に名前を書きながら確認する。(学生の都合を確認する。)
・毎日練習するようにして、定着を図りましょう。
・「4月」「7月」「9月」の読み方に注意。
☆月日
・カレンダーイラストなどを用いる。
「一月」「二月」「三月」「四月」「五月」「六月」「七月」「八月」「九月」「十月」「十一月」「十二月」「(分かりません)何月」
T:今日?何月?
☆初日オリエンテーション(※必要に応じて)
①教科書の販売について
②ノートの取り方などの説明
③行事の説明
④規則・ルールの確認(遅刻や欠席、授業態度など)
☆ひらがな(あ行とさ行)
・五十音図を黒板に提示する。
・あ行、か行を一文字づつゆっくりはっきり読む。
・あ行、か行を続けて読む。
・一人ずつ発音を確認する。
・十字入りボードを黒板に貼る。
「あ(ボードに書く)」
「一、二、三、あ(書き順を言いながら書く)」
「(誤った例を書いて)だめ。」
・鉛筆を宙に浮かせ、黒板を見ながら書く真似をさせる。
・「い」「う」「え」「お」も同様に繰り返す。
・ノートやプリントで書く練習をする。
・FCで読み方の定着
「あい」「うえ」「いえ」「あお」「かお」
・一斉読み
・席順読み
・「か」行も「あ」行同様に進める。
・かきくけこの下に「がぎぐげご」を書く。
「(上を指しながら)かきくけこ」
「(下を指しながら)がぎぐげご」
・一人ずつ濁音の発音確認。
・ランダムに読み方の練習など。
・濁点のつけ方の悪い例を黒板に示す。
・書き方練習
・FCで読み方の定着
「えき」「かぎ」「きく」「いけ」「こえ」「かぐ」「かげ」「くぎ」「ここ」「ごご」
・一斉読み
・席順読み
・「さ行」、「ざ行」も上記のように進めていく。
・たくさん褒めて、話すことへの抵抗をなくしてあげましょう。
・筆順は色を変えて書くと分かりやすいです。
・「か行」と「が行」の発音に注意。聞き取れているか、発音できるか、の確認しましょう。
▽「初日の授業」教案(「みんなの日本語」1課)続きはこちらから。
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